画像の切り貼り

最近,バスの時刻表の一部分を切り貼りして,印刷する必要がありました。
その時刻表は,利用する路線の一日のすべてのバス停の時刻が掲載された,JRの時刻表のような形式のもので,バス会社のホームページにありました。それはその路線の一日すべての時刻表ですから,かなり大きなものです。でも実際に必要なのは,その一部分です。つまり,その中から,乗車するバス停の発車時刻と,降車するバス停の到着時刻の部分が必要です。すぐに思いつくのは,全体を印刷して,必要な部分をハサミで切り抜いて,それらをテープ等で張り付けて一枚の紙にして使うことです。

全体を一枚の紙に印刷すると,字が小さすぎて見にくくなるので,その部分を拡大コピーする必要があります。往路,復路,平日,休日とあるので,この方法だと,全部で8枚の紙に印刷して,それらを切り貼りすることになります。手間は大したことはありませんが,紙の無駄にもなりますし,出来上がりもスマートではありません。何か工夫をして,1枚の紙に印刷するだけで,目的を達することはできないでしょうか。

私は,tbasicを使って必要な画像を何枚か切り抜いて,それらを一枚の画像にまとめて印刷することにしました。いくつかの作業の結果,1枚の用紙に必要な情報をすべて印刷することができました。

これらの作業は,単に画像を切り取り,張り付けただけで,特に難しいことではありません。画像処理用のツールを使えば可能でしょう。そのようなツールが身近にあり,使い慣れていれば,それを使うのが良いでしょう。私はtbasicを使い慣れているので,それを使って処理することにしました。
以下ではそこで使ったtbasicの技法・プログラムについて紹介します。処理は,画像の切り取りと,それらの貼り付けです。処理としては独立なので,分けて説明します。
例は時刻表ではなく,スナップ写真を使うことにします。

画像の切り取り

大きな画像から,特定の部分を切り抜くには,LoadPictureとSavePictureを使えば簡単にできます。ここでは私がデジカメで撮影した2048×1568の画像を例にして説明します。(以下の画像は画面に合わせて縮小されて表示されています。)この画像から2羽の鳥の部分を切り抜くことを考えます。

full.jpg(大きな画像のため縮小されています。)

一つの方法として,tbasicのsamplesにある,Trimming.tbtを使う方法があります。このプログラムを起動すれば,必要な部分を切り抜くことが簡単にできます。しかし,ここではそれほど大げさなことをせずに,次のプログラムを書いて切り抜きました。

ChDir GetProgramDir
GScreen(2048,1536,2048/2,1536/2)
GStretch On 
LoadPicture("full.jpg")
GLocate(750,650)
SavePicture("part1.png",500,400)

1行目の ChDir GetProgramDir は,ファイル読み込み系のプログラムでの定型的文です。このプログラム自体と,ここで読み込むfull.jpgを同じフォルダーに保存して実行することを指定します。これによりファイルのパスを気にすることなく,LoadPictureやSavePictureを実行することができます。
2行目のGScreenは,画像の大きさのグラフ画面を開きますが,2048×1536と大きく,ディスプレイに収まらないので,グラフ画面は幅,高さをそれぞれ半分にして開きます。
このままでLoadPictureを行うと,画像全体は画面に収まらず,スクロールモードになり,一部分しか表示されません。これを避けるため,画像を縮小して画面全体に収めるようにする命令が,3行目の GStretch です。この命令は画像を表示するとき縮小するだけで,元の画像の変更は行いません。
4行目で,画像をLoadします。 GStretch On としてあるので,元の画像の1/4が表示されています。この表示されたが像の必要な部分を切り取ります。
5行目のGLocateは切り取る左上の座標を指定しています。
6行目は,上の位置から500×400の部分を切り取り,part1.pngとして保存します。このプログラムで作成したpart1.pngは次です。

part1.png

同様にして,上のプログラムの最後の2行を以下に変更して,実行しpart2.pngを作成します。

Glocate(1340,550)
SavePicture("part2.png",500,400)

このプログラムで作成したpart2.pngは次です。

part2.png

上のプログラムで,GLocateの数値を決めるために,少し試行錯誤をする必要があるかもしれません。適当に数値を変えて,実行するだけですが,切り抜いた部分をグラフ画面で確認できると分かり易いです。そのために,実際に私は上のプログラムを少し変更たものを試行錯誤用に使いました。それは次です。

XP = 750 : YP = 650
ChDir GetProgramDir
GScreen(2048,1536,2048/2,1536/2)
GStretch On 
LoadPicture("full.jpg")
GLocate(XP,YP)
SavePicture("part1.png",500,400)
GDrawWidth = 2
Line (XP,YP)-(XP+500,YP+400),,B

追加部分は,GLocate の位置をXP,YPとして,切り抜いた部分を矩形で囲んだものです。GDrawWidthは見やすさのため,少し太い線を指定しています。このプログラムで,XP,YPの部分を色々変更して,実行すれば目的に合った部分を切り抜くことができます。

画像の貼り付け

part1.pngとpart2.pngを一つの画像に纏めます。縦に並べることもできますが,ここでは横に並べてみます。プログラムはとても簡単です。以下のプログラムで貼り付けができます。

ChDir GetProgramDir
GScreen(1000,400)
LoadPicture("part2.png")
GLocate(500,0)
LoadPicture("part1.png")
SavePicture("paste.png")

このようにして出来上がった,paste.pngは次です。

まとめ

画像の切り貼りは,よく使われる一般的な処理ですから,tbasicを使わなくても勿論可能です。画像処理用のソフト,ワープロ等で可能でしょう。身近に使い慣れたそれらのツールがあれば,そちらを使うのが良いかもしれません。一方tbasicは汎用的なプログラミング言語ですから,これを使って色々なことが可能です。簡単な処理であれば,実行速度も全く問題ありません。tbasicを使い慣れることで,色々な処理が簡単に行えるようになります。

BASIC (beginners’ all-purpose symbolic instruction code)

ランダム文字列の生成

このところ,何度かサーバーをインストールする機会がありました。その際いくつかのソフトウェアをインストールするとき,ランダムな文字列を設定ファイルに書き込む必要がありました。例えば,このブログのソフトウエアであるwordpressのインストールには,その設定ファイルに65個のランダム文字列を8種類入力する必要があります。また,データベースを管理するソフトウエア,phpMyAdminのインストール時にもランダムな文字列の設定が求められます。
勿論ランダムな文字列を入れれば良いので,手で適当に入力しても間に合います。また,そのような文字列を生成するツールも用意されている場合もあります。
しかし,作成プログラムを自分で作ってみたくなるのも事実です。実際,ランダム文字列の作成は色々な状況で起きるので,類似のプログラムは実は何度も作っています。ここでは,その簡単なひな形を紹介します。小さなプログラムで,少しの手直しで,色々に対応できます。

基本のひな形

アイデアはとても簡単です。選ぶ文字の集合を決めて,その集合の中からランダムに文字を選択することを繰り返すだけです。

選ぶ文字の集合

例えば,文字ABCDEFGから選ぶとして,その集合を数学の記号で表すと{A,B,C,D,E,F,G}となります。しかし,残念ながらtbasicには,集合という対象はありません。そこで,その代わりに,文字列”ABCDEFG”を使うことにします。勿論,集合と文字列は別な対象ですが,文字列にもその中の一つの文字を取り出すという操作が可能です。ですから,文字列でも選ぶ文字の集合としての役割を果たせます。具体的には,Mid$関数を使うと,文字列”ABCDEFG”から,例えば,”E”を選ぶことは,Mid$(“ABCDEFG”,5,1)で可能です。

一般に文字列T$から,n番目の文字を選ぶには,Mid$(T$,n,1)によって可能です。ですから,文字の集合からランダムに文字を選ぶことは,文字の集合の元で文字列を作り,その文字列の中から,ランダムに一つ選ぶことと同じになります。

例えば上の例で,{A,B,C,D,E,F,G}からランダムに一つの文字を選ぶことは,文字列”ABCDEFG”からランダムに一つの文字を選ぶこと。そしてこれはMid$関数を使えば,1から7の間の数をランダムに選ぶことと同じになります。

ランダムに取り出す

ランダムに取り出す操作は,Rnd関数を使います。Rnd関数は0≦x<1となる数xをランダムに与えます。ランダムな数を与えるのが関数と言うのは違和感を感じますが,正確に言えば,Rnd関数はランダムに見える数を与える関数です。Rnd関数は0≦x<1となる数xを与える関数ですが,例えば7倍すると,0≦7x<7をですから,使って,例えば,1から7の間の数をランダムに得るには,Int(7*Rnd)+1を使います。切り上げ関数Ceilを使ってCeil(7*Rnd)としても同じです。

一般に,1からmまでの間の自然数をランダムに得るには,Int(m*Rnd)+1または,Ceil(m*Rnd)によって可能です。

この操作を繰り返せば,ランダムな文字列を取り出すことができるような気がします。しかし少し問題があります。Rnd関数はランダムに数を出力するのではなく,ランダムに近い数を出力します。正確には,Rnd関数は初期値(シード:種)から,順次決まった数列を出力します。tbasicの場合,プログラム実行時にRnd関数に決まった初期値を設定します。ですから,プログラムを実行後最初のRnd関数の値はいつも同じです。ですから,繰り返しで出力される数の列はいつも同じです。初期値が同じなら,同じ数が出力されますから,これを避ける必要があります。それには初期値を色々と変化させれば可能です。その処理を行うのがRandomizeです。

Randomize

Randomizeは,Rnd関数の初期値を設定します。 Randomize x の書式も使えますが,これは特別な時に使うもので,普通は Randomize の形で使います。これは内蔵時計の時刻を使って初期化する方法で,簡単ですが,適切な方法です。Rnd関数を使い始めるとき,一回使うだけで十分です。

以上のことを注意すると,プログラムは簡単に書けます。

まず,ランダムに選ぶ文字列の集合を決め,それを文字列で表します。これを例えば,RandChS$としましょう。上の例,{A,B,C,D,E,F,G}からランダムに一つの文字を選ぶ場合ならば,RandChS$=”ABCDEFG”です。その個数をNumRChSとします。NumRChS=Len(RandChS$)です。求めるランダム文字列をRndStr$,その長さをLenRStrとします。
プログラムの構成はRandChS$を決め,LenRStrを決めて,上の基本のひな形を使えば良いだけです。例えば次のようにプログラムが書けます。

プログラム例

RandChS$ = "0123456789"
RandChS$ = RandChS$ + "abcdefghijklmnopqrstuvwxyz"
RandChS$ = RandChS$ + "ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ"
LenRStr = 20
NumRChS = Len(RandChS$)
Randomize
RandStr$ = ""
For i = 1 To LenRStr
   r = Ceil(NumRChS * Rnd)
   RandStr$ = RandStr$ + Mid$(RandChS$,r,1)
Next i
Print RandStr$

ここで,RandChS$は,”0123456789abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ”ですが,長いので,見やすいように3行で設定しています。RandChS$の指定を変えることで,色々なランダム文字列を生成できます。

上のプログラムは簡単なものですが,状況に合わせ,少しの手直しで,色々な状況に活用できます。

ディスクの内容を完全に消去する

最近,古くなったハードディスクを廃棄することにしました。大切なファイルも保存したこともある,随分と使ったディスクです。愛着もあるのですが,古くなって,速度も容量も不足に感じるようにもなり,そしてそろそろデータ破損の心配も出てきたので,思い切って廃棄することにしました。ディスクに残っていたデータを整理し,削除したり,他のディスクに移したりして,内容をすっかり空にしました。更にフォーマットをかけて,まっさらのディスクにしましたが,まだ完全にディスクの内容が消されたという確信は持てません。

実際,特別なツールを使うと,削除やフォーマットしたディスク内容が復元できるようなことも聞きます。これは,フォーマットやデータ消去が実体としてのデータの消去ではなく,それを紐付けしたインデックスの消去で,実体は残っていることのようです。ツールや,フォーマットオプションによって更に完全に消去するすることが可能なようですが,それらの処理が実際に何を行っているのか明確でないと,本当に完全に消去されたのか不安が残ります。

そこで,このような場合私は,tbasicを使って完全にデータを消去しています。方法は全く簡単で,

「無意味なデータでディスクを満たし,そのうえでフォーマットする。」

ということです。無意味なデータとは例えば,0 のみからなるデータです。そして例えば100Mバイトのテキストファイルが1000個あれば100Gのディスクが満杯になります。このディスクをフォーマットしたものは,どのような解析を行っても0のみからなるデータが抽出されるだけで,何かの情報が盗まれることはありません。

無意味なデータでディスクを満たすことは次を組み合わせて可能です。
1.0のみからなる100Mのテキストファイルzero.txtを作成する。
2.zero.txtを1000個複製する。

1zero.txtの作成はtbasicでは次のプログラムで可能です。

 A$=""
 For i=1 To 1022
   A$=A$+"0"
 Next i
 Open "Zero.txt" For Output as #1
 For i=1 to 102400
    Print #1, A$
 Next i
 Close #1

2.zero.txtを1000個複製は次のプログラムで可能です

For i=1 To 1000
   ID$=Right$("0000"+Trim$(Str$(i)),4)
   Print ID$
   FileCopy "Zero.txt", "Zero"+ID$+".txt"
Next i

これらの処理は,消去しようとするディスク(例えばXドライブ)をカレントディレクトリにして実行します。それぞれのプログラムの先頭にそれぞれ,

ChDir "X:\"

を書きます。このようにしてプログラムを実行すれば,Xドライブに1001個のzeroのみからなる100Mのテキストファイルが作成されます。ディスクの容量に応じて,zero.txtの大きさや個数を調節すれば,数テラバイトのディスクも0で満たすことができます。

これらの処理の速度は主に,ディスクの書き込み速度に依存しますので,tbasic以外の言語で同様な処理を行っても速度は変わらないと思います。ですから,上のプログラムによる,ディスクデータ完全消去法は,実際に使って効果のある現実的なものです。実際,この方法は私がディスクを廃棄する際にいつも使っている方法です。このように,

tbasic の小さなプログラムで効果あるツールを作成することができます。

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