binary viewer

tbasicが1.60になりました。これを機会にそのsamplesとして,いくつかのプログラムを作りました。ここではその中から,binary viewer を紹介します。プログラムの名前は,「Tiny Binary Viewer」で,ファイル名は「tbview.tbt」です。tbasic set 1.60 のsamples\Advancedの中にあります。

1.60では新たに,バイナリファイルの読み書きができる ReadAllBytes,WriteAllBytes関数・手続きをサポートしました。この使い方は,Tiny Basic for Windows ファイル操作編(2023年08月版)10節に書いてあります。簡単に言えば,ファイルの内容をバイト列として,読み書きするものです。
この機能を使えば,原理的には,バイナリエディタを作ることも可能ですが,利用目的が思いつかないので,今回は,binary viewerを作ることにしました。バイナリビューアはすべてのファイルのバイト内容を表示するもので。テキストファイル,画像ファイル,文書ファイル,実行ファイルなど,標準的な起動・開く方法とは異なった形式の表示を得ることができます。そして種々のファイルの舞台裏をつぶさに見ることができます。
今回色々なエンコーディングについて調べるときに,それらの内容の確認をするためには,テキストファイルをバイナリとして確認する必要がありました。そして, ユニコードへ(2023年8月版)を書く際に,実際にtbview.tbtを確認用として使いました。

tbview.tbtの起動画面は次です。

ここで,表示は16進表示,10進表示,アスキー表示が可能です。16,10進表示は0~255までの数値ですが,アスキー表示は,制御コードと印刷可能範囲で記号・数値・アルファベットが表示されます。
例えば,「1+1の計算」と記入したテキストファイルをシフトジスでファイル名「1足す1SJIS.txt」として保存して,この内容をバイナリビューアで表示させると,次のようになります。16進表示です。

見ると,ファイル内容は「31 2B 31 82 CC 8C 76 8E 5A」です。この結果は,ユニコードへ(2023年8月版)の23ページでシフトジスでの計算結果に合致します。
同様に,「1+1の計算」と記入したテキストファイルをエンコーディングEUCでファイル名「1足す1EUC.txt」として保存して,この内容をバイナリビューアで表示させると,次のようになります。

見ると,ファイル内容は「31 2B 31 A4 CE B7 D7 BB BB」です。この結果は,ユニコードへ(2023年8月版)の27ページでEUCでの計算結果に合致します。

プログラムは全体で,200行弱ですが,コントロール画面の設定がかなりの部分を占めています。実際,ファイルを指定して,その内容を表示するだけなら,数10行のプログラムで可能です。


工夫の余地はありますが,一応のツールとして使うことができます。興味があったらお試しください。

time stamp の変更

tbasicが1.60になりました。これを機会にそのsamplesとして,いくつかのプログラムを作りました。ここではその一つを紹介します。プログラムの名前は,「Time Stamp Changer」で,ファイル名は「tsChanger.tbt」です。tbasic set 1.60 のsamples\Advancedの中にあります。

このプログラムの目的はファイル,フォルダーのtime stamp を変えるものです。
ファイルやフォルダーにはtime stampと言った3種類の性質があります。「作成時刻,更新時刻,最終アクセス時刻」です。これらの性質は,ファイルの使用状況を示すもので,ファイルを右クリックして,表示させるプロパティでそれを見ることができます。
そしてこれは本来の性質上,変更すべきものではありません。

しかし,時には変更したい場合があります。これはそのような時のためのツールです。

time stampの変更は,よく使われる一般的機能なので,特別なものではありません。標準的なプログラミング言語で実現できると思います。また,プログラミング言語を使わなくても,Power Shellでも実現できます。
実はまた,tbasicでも,1.50で,「SetCreationTime,SetLastWriteTime, SetLastAccessTime」をサポートしましたので,この時点で,tbasic でも可能でした。
プログラムを書くのであれば,特定のファイルのtime stamp変更は数行で可能です。

今回1.60を機会にこのプログラムを作ったのは,機能と言うより,操作性を重視してツールとして作ったものです。tsChanger.tbtを起動すると次の画面になります。

フォルダ参照またはファイル参照をクリックして目的のファイルを確定します。
参照をクリックすると,例えば,次のような選択画面がでます。

確定すると,次の画面が出ます。そこで変更したい時刻を設定して,目的とするボタンを押すと,設定できます。例えば,次のようになります。

このように,ファイルの選択,設定等視覚的に,簡単にできます。tbasicでのコントロール画面の機能をフルに使ったものです。ver. 1.60で,コントロール画面の機能を少し強化し,それを使いました。

プログラムは全体で,約250行で,殆どがコントロール画面設定の部分です。

少数のファイルが対象なら,このままで十分に目的が果たされます。また,必要に応じてこのプログラムを変更すれば色々機能を追加することができます。

興味のある方は実行してみてください。

このプログラムの実行時の注意をあげます。
・使用中のファイルやフォルダの time stampは変更できません。
・ファイルですと開いているものなどです。
・フォルダの time stamp の変更は少し微妙です。
フォルダが使用中と言うことは,そのフォルダ下にあるファイルが使用中ということです。たくさんのファイルやフォルダを含むフォルダの場合,その中にあるファイル等が一つでも使われていると変更できなくなります。

画像の切り貼り

最近,バスの時刻表の一部分を切り貼りして,印刷する必要がありました。
その時刻表は,利用する路線の一日のすべてのバス停の時刻が掲載された,JRの時刻表のような形式のもので,バス会社のホームページにありました。それはその路線の一日すべての時刻表ですから,かなり大きなものです。でも実際に必要なのは,その一部分です。つまり,その中から,乗車するバス停の発車時刻と,降車するバス停の到着時刻の部分が必要です。すぐに思いつくのは,全体を印刷して,必要な部分をハサミで切り抜いて,それらをテープ等で張り付けて一枚の紙にして使うことです。

全体を一枚の紙に印刷すると,字が小さすぎて見にくくなるので,その部分を拡大コピーする必要があります。往路,復路,平日,休日とあるので,この方法だと,全部で8枚の紙に印刷して,それらを切り貼りすることになります。手間は大したことはありませんが,紙の無駄にもなりますし,出来上がりもスマートではありません。何か工夫をして,1枚の紙に印刷するだけで,目的を達することはできないでしょうか。

私は,tbasicを使って必要な画像を何枚か切り抜いて,それらを一枚の画像にまとめて印刷することにしました。いくつかの作業の結果,1枚の用紙に必要な情報をすべて印刷することができました。

これらの作業は,単に画像を切り取り,張り付けただけで,特に難しいことではありません。画像処理用のツールを使えば可能でしょう。そのようなツールが身近にあり,使い慣れていれば,それを使うのが良いでしょう。私はtbasicを使い慣れているので,それを使って処理することにしました。
以下ではそこで使ったtbasicの技法・プログラムについて紹介します。処理は,画像の切り取りと,それらの貼り付けです。処理としては独立なので,分けて説明します。
例は時刻表ではなく,スナップ写真を使うことにします。

画像の切り取り

大きな画像から,特定の部分を切り抜くには,LoadPictureとSavePictureを使えば簡単にできます。ここでは私がデジカメで撮影した2048×1568の画像を例にして説明します。(以下の画像は画面に合わせて縮小されて表示されています。)この画像から2羽の鳥の部分を切り抜くことを考えます。

full.jpg(大きな画像のため縮小されています。)

一つの方法として,tbasicのsamplesにある,Trimming.tbtを使う方法があります。このプログラムを起動すれば,必要な部分を切り抜くことが簡単にできます。しかし,ここではそれほど大げさなことをせずに,次のプログラムを書いて切り抜きました。

ChDir GetProgramDir
GScreen(2048,1536,2048/2,1536/2)
GStretch On 
LoadPicture("full.jpg")
GLocate(750,650)
SavePicture("part1.png",500,400)

1行目の ChDir GetProgramDir は,ファイル読み込み系のプログラムでの定型的文です。このプログラム自体と,ここで読み込むfull.jpgを同じフォルダーに保存して実行することを指定します。これによりファイルのパスを気にすることなく,LoadPictureやSavePictureを実行することができます。
2行目のGScreenは,画像の大きさのグラフ画面を開きますが,2048×1536と大きく,ディスプレイに収まらないので,グラフ画面は幅,高さをそれぞれ半分にして開きます。
このままでLoadPictureを行うと,画像全体は画面に収まらず,スクロールモードになり,一部分しか表示されません。これを避けるため,画像を縮小して画面全体に収めるようにする命令が,3行目の GStretch です。この命令は画像を表示するとき縮小するだけで,元の画像の変更は行いません。
4行目で,画像をLoadします。 GStretch On としてあるので,元の画像の1/4が表示されています。この表示されたが像の必要な部分を切り取ります。
5行目のGLocateは切り取る左上の座標を指定しています。
6行目は,上の位置から500×400の部分を切り取り,part1.pngとして保存します。このプログラムで作成したpart1.pngは次です。

part1.png

同様にして,上のプログラムの最後の2行を以下に変更して,実行しpart2.pngを作成します。

Glocate(1340,550)
SavePicture("part2.png",500,400)

このプログラムで作成したpart2.pngは次です。

part2.png

上のプログラムで,GLocateの数値を決めるために,少し試行錯誤をする必要があるかもしれません。適当に数値を変えて,実行するだけですが,切り抜いた部分をグラフ画面で確認できると分かり易いです。そのために,実際に私は上のプログラムを少し変更たものを試行錯誤用に使いました。それは次です。

XP = 750 : YP = 650
ChDir GetProgramDir
GScreen(2048,1536,2048/2,1536/2)
GStretch On 
LoadPicture("full.jpg")
GLocate(XP,YP)
SavePicture("part1.png",500,400)
GDrawWidth = 2
Line (XP,YP)-(XP+500,YP+400),,B

追加部分は,GLocate の位置をXP,YPとして,切り抜いた部分を矩形で囲んだものです。GDrawWidthは見やすさのため,少し太い線を指定しています。このプログラムで,XP,YPの部分を色々変更して,実行すれば目的に合った部分を切り抜くことができます。

画像の貼り付け

part1.pngとpart2.pngを一つの画像に纏めます。縦に並べることもできますが,ここでは横に並べてみます。プログラムはとても簡単です。以下のプログラムで貼り付けができます。

ChDir GetProgramDir
GScreen(1000,400)
LoadPicture("part2.png")
GLocate(500,0)
LoadPicture("part1.png")
SavePicture("paste.png")

このようにして出来上がった,paste.pngは次です。

まとめ

画像の切り貼りは,よく使われる一般的な処理ですから,tbasicを使わなくても勿論可能です。画像処理用のソフト,ワープロ等で可能でしょう。身近に使い慣れたそれらのツールがあれば,そちらを使うのが良いかもしれません。一方tbasicは汎用的なプログラミング言語ですから,これを使って色々なことが可能です。簡単な処理であれば,実行速度も全く問題ありません。tbasicを使い慣れることで,色々な処理が簡単に行えるようになります。

BASIC (beginners’ all-purpose symbolic instruction code)

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